※ざっくり言うと※
・伝説の古代都市が地中海で見つかる
・最大の目玉は洪水の神ハピ。なお、都市は洪水で海中に沈んだ模様
・現代の税制にも通じる複雑な税制が遺跡に刻まれていて泣ける

神話と現実とを分ける細い線があります。都市が実際に見つかるまでは、トロイのような伝説の古代都市に過ぎないと考古学者も考えていました。

ヘラクレイオンの町は、最大の都市であるイラクリオンの町およびクレタ島の行政首都と混同しやすいものの、神話に隠された別の古代都市です。何百年もの間、神話の街だと考えられていたヘラクレイオンは、地中海に飲み込まれ、1,200年以上、砂と泥で埋まっていました。

バビロン、ポンペイ、アトランティス等の失われた伝説的な帝国とは異なり、今日はトロニス=ヘラクレイオンについて聞いたことはほとんどありません。

古代都市ヘラクレイオンは、多くの古代ギリシャの哲学者に知られていました。その中には、かの有名なヘロドトスもいました。しかし、この都市の存在は19世紀まで証明されることはありませんでした。

トロニスとも呼ばれるこの都市は、古代エジプト文明に属し、その重要性は特にファラオの衰退した時代に高まりました。その後期時代、国際貿易と税の収集のためのエジプトの主要な港だったのです。

この古代都市は、アレクサンドリアの北東15マイル(約24km)にある現在のアブ・キル湾の敷地に、約3,000年前に設立されました。今日は、150フィート(約46m)の海中に沈んでいます。

類を見ないその美しさは、この古代都市を取り巻く信じられないほどの物語の一部に過ぎません。何世紀もの間、この都市は、アトランティスのような伝説であると考えられていました。歴史家ヘロドトスによって言及された特別な富の都市であり、ヘレネーと彼女の恋人であるトロイアのパリス王子を訪れたそうです。

これまでのところ、専門家は16フィート(約5m)の巨大な彫像を回収し、海底に広がった何百体もの小さな神の彫像も見つけました。最近、数十の小さな石灰石の石棺もダイバーによって発見されました。神を癒すために置かれたミイラ化した動物を含むと考えられています。

この都市には、ヘルムルスとしてギリシア人に知られていたアムンの子、コンソウの大きな寺院がありました。

沈没した都市から回収された最も注目すべき遺物の1つは、紀元前4世紀初頭から完璧に保存された、象形文字が刻まれた2メートルの高さを誇る壮大な黒い碑石です。

この碑文は、古代エジプトの、現代税制にも似た複雑さのいくつかを明らかにしています。【皇帝ネクタネボ1世は、金、銀、木材、加工木材、そしてハウ・ネブト(地中海)の海から来るすべてのものの1/10を受け取るとする。…ちょうど彼の母親であるネイスの神に奉仕にするように。】などと書かれています。

トロニスとヘラクレイオンは、これまでに信じられていたように、2つの異なる町ではなく、むしろ1つの町であることが判明しました。エジプトとギリシャの両方の名前で知られている貴重な単一の都市であり、この碑文は、考古学者にとって非常に重要なのです。